ミリタリー用語の発音について
最近は、原語の発音が重視されるようになり、昔刷り込まれた読みが変わってきている例が多々見られるようになりました。 多くは、土居さんが自ら編集長を務めた「アーマーモデリング」紙での発言です。
ドイツの物は、ドイツ語で、アメリカ、イギリスの英語圏の物は、英語で。
ソビエトものはロシア語で。フランスものはフランス語で。
もともとの国の言葉での発音に近づけようというのがその基本でした。
私は、ドイツ語、英語はまだすこしはわかりますが、ロシア語、仏語、イタリア語、スペイン語などはわかりません。
おおよそは、ドイツ語、英語に翻訳されたもののを、ドイツ語風、英語風に変換、発音する、ということが、雑誌編集者には起こっていた1990年代からの流れではないでしょうか?
1970年代産経新聞社の第2次世界大戦ブックスの表記が、その当時のミリタリー少年の読み方のバイブルでした。
同時期の文林堂の戦車解説本も同様でした。
たとえば、1970年代のグーデリアン。
古くは産経新聞社出版局第2次世界大戦ブックス1971年初版「ドイツ機甲師団」加登川幸太郎訳
1977年同出版「ドイツ戦車隊」菊地晟訳では、グーデリアン表記になっていました。
同様に、どちらの本もティーガーがティーゲル、パンターがパンテル表記でした。
1980年に私がドイツ語を学んだ際は、このティーゲル、パンテルという表記には、笑ってしまいました。
日本語で、あいうえお。
ドイツ語で、ディーアルファベート
英語で、ジアルファベット
文字と発音を学ぶのがこれほど大事なことだと、改めて学びました。
アーマーモデリングでは、グーデリアン改めグデーリアンと表明しました。
〇 アーマーモデリング 日本語表記あれこれ
土居さんがこだわったのは、オリジナル発音。
和製英語(カタカナ表記の英語訳)を極力排し、英語なら英語、ドイツ語ならドイツ語のオリジナル発音に近づけようとする表記ルールです。
ダイオラマ 昔からジオラマと表現されてきた情景模型。
ステュージオと同様、古くから日本のカタカナ表記でスタジオと和製英語になっているものを、英語発音に近づけよう=国際標準化しようというものです。これはこれで土居ルール上の約束ですので、良いのかもしれません。
このことは、和製英語の成立と発展、そして定着してきた日本語の歴史に深くかかわってきます。
私は、和製英語は、カタカナ表記で補完され、その名の通り英語の和訳表記であり、英語の発音表記ではないと考えています。
世上往々、そこをはき違えたエセインテリが、洋画のタイトルにケチをつけ、もともと和製英語のカタカナ表記には、三単現も複数形もないのに、英語ではこういうものだ、とクレームをつけ、それを深く受け止めたメーカーがその通りに変更した事例がこれ。
ダンス ウイズ ウルフが、ダンス ウイズ ウルブズに変わった事案。
あほ丸出しである。
英語表記に倣えば、ダンシズウイズウルブズ。元の文章からすれば
the man who dances with wulves.
オオカミと一緒に踊る男 が直訳である。
日本語には三単現はないから、踊るは、踊るだ。もちろん複数形も基本ないので、カタカナ表記も複数形はない。繰り返すけれど、カタカナ表示は英語の表音形ではなく、和製英語なのだ。
1980年代にピーターバラカンが、ピーターガブリエルは、英語的に言うと、ゲイブリエルというのが普通だとFMで話していました。
一部共感を得られた雑誌、。放送局では、ピーターゲイブリエルと表記、発言に変わったところがありましたが、現在に至るまで、混在したまま。
やはり、カタカナの日本人の中での考え方の不統一が問題なのでしょう。
私はカタカナ語は、和製英語で、英語などの外来語の発音表記ではない、と考えることを共通にすることを提案します。
基本はそのお国の発音で人名を含む固有名詞は発音、カナ表記するべきとは思います。
例えば、日本人の名を中国で言うとき、たまたま漢字であるがゆえに、中国語の発音で自己紹介するという愚行が30年以上前に行ったことがありました。
その当時は、韓国の大統領を日本語読みのゼントカンと呼んでいたのが、韓国人が、我々の国は朝鮮語の国で、ゼントカンではなく、チョンドファンと呼べ、と主張。おとなしい日本はそれに倣いました。
ところが、日本人が中国に行くと、日本語読みではなく、中華読みにするということが当たり前に行われるということが起こりました。
これっておかしいんじゃない?
やはり固有名詞は、自国の発音で表現すべきなのでしょう。その方がトラブルは絶対に少ないです。
ジオラマから大きく話が逸れてしまいました。
アーマーモデリング誌では、情景模型をディオラマではなく、ダイオラマと表記するようになっています。
昔は、ヂオラマとかジオラマとか言っていたものです。
これは土居さんのルールだからそれはそれでOKです。
だったら、和製英語のラジオ、スタジオ、デジタルなども、英語表記に変更しなくちゃならなくなり、それはそれで大変。なので、土居さんは、ミリタリー、模型に関するものをこうする、と紙面でルール作りをしていたと思います。
ラジオradioは英語発音表記すると、レイディオ。
studio 同様に ステュージオ。
degital も ディジタル
なのである。
和製英語で市民権を得ているものはそれはそれでよいのではないでしょうか?
和製英語の特長は、
1.発音しやすい。
2.覚えやすい。
3.短い。
など。日本人にあった外来語の消化の仕方だと思います。
カステラ、ブラシ、ポテト、などなど、
〇 ドイツ戦車の名前のお話
キングタイガー。これほど有名なのに、いまだに読みが定着していないものはない。2000年刊の写真集単行本でも、相変わらず「ケーニッヒティーガー」というタイトル表記のものもあります。
読み方の歴史
古くは、キングタイガー ニチモ・タミヤの商品名表示
ロイヤルタイガー ニチモの表示 (ポルシェ砲塔のティーガー2をこう表記していた。)
ドイツ語のカナ表記
王様のキングは、
Konig o は上に点々が付くオーウムラウトで
ケーニッヒ と読みます。
~のという場合は、
Konigsberg oはウムラウトです。これでケーニヒスベルクと読みます。
Konigstiger は?
ケーニッヒスティーガーですね。
虎は、Tiger
ティーガー
豹はPanther
パンター
と読みます。
装甲を表す Panzerは
パンツアー
と読みます。
したがって、パンテル、ティーゲルなんて言うのは笑っちゃったわけです。
パンテルと読むのだったら、Panzerは、パンツェルになっちゃいます。
しかしある人曰く。ドイツでも方言があり、一概に決め付けるのはよくないという。
例 ケーニッヒスティーガーをケーニックスティーガーと呼ぶ地方もあるかも、ということか?よくわかりません。
私は、ケーニッヒスをケーニックスとは呼ばないです。
誤用の例としては英語で、strengthを「ストレングス」と読んでしまう人がいるのと同じようなものです。[strenks]
[s]のsは、発音記号でいうと立てた楕円の真ん中に横棒を入れた記号です。
舌の先を軽く歯で挟んで発音する日本人が苦手な発音の記号の部分です。これも表記できないので、簡易に表記しました。
これはカタカナで言えばストレンク(ㇲ)ですね。
米人の発音を聞いていると、ストレンク(ㇲ)と言ってます。
英語でも、読みの誤用が幅を利かせています。ましてやあまりなじみがないドイツ語。ですがここであきらめてはいけません。正しいドイツ語読み(英語読み)を普及させましょう。