BDP-LX91


○201409 放出

 長らくBDプレーヤーの地位を保ってきたLX91も、お別れする時が来ました。

 UX-1が、高性能メカ、高性能DACを持っているのに、BD再生ができない、という環境になってしまったように、LX91も、たとえば、3D再生ができないということが起こっていました。LX91クラスだと、実際上は3Dは不要です。JVC DLA-X70Rとの組み合わせでの4K再生で、驚くような立体感のある再生画を出していました。

 今回、HDMIが一気に2にバージョンアップ。これまでHDMI1.4をクリアできるか、などとやっていたら、いろいろなスペックの変更があり、それがHDMI2.0 になったわけです。
 現行で、十分な画質をもっているので4K出力は不要ですが、そのほかの要素でやはりアップデートの時期がやってきていました。
 LX91は4年前からファームウエアのアップデートをやめていました。メーカーに問い合わせても、今後新しいバージョンを発行する予定はない、ということでがっかりしてました。

 以前会津坂下に評論家亀山氏、パイオニアのエンジニア氏がやってくるというとき(3年前)LX91のことを聞きました。その時は、3Dに関することでしたが、残念ながらパイオニアには、旗艦機であるLX91 のこれ以上の進化は予定しなかったことを確認下だけでした。

 2年前にも、一時期LX91 を手放そうと思った時がありましたが、X70Rでの4K 画像に満足してしまったため、手元に置いて来ました。それが今回のHDMI2.0への移行に、ついに手放すことになったのでした。


○20130323 修理

 結局読み取りがうまくない、という症状で修理に出した。パイオニアサービスはメカ交換で対応。1週間ほどで戻ってきた。
 それでも、BD-R DL の読み込みは不安定だ。
 
 LX91の交換メカも戻ってきたので分解してみた。

 トレイと、センタースピンドル。奥がピックアップ。スピンドルのホルダー自体が奥を支点にした上下に動く。

 ピックアップのズームアップ。初めは、このピックアップ部のみ交換かと思っていた。ばらしてみると、この部分だけ交換というのは難しいことが分かった。

 ピックアップベースを蠕動する螺旋軸。

 チャッキングの駒、下スピンドル。

 マグネットで密着する。本来は、この間に、トップカバー(下参照)が入る。

 メカのケースが中央。底カバーが後ろ。左のカバーは、ディスク押さえ部を収納するへこみのカバー。

 パイオニアは、LD1000のヘリウムネオンガスレーザーピックアップから始まった光ディスクメカを、BDのこのようなメカにまで進化し続けてきた。LDのあとは、他社の後塵を拝するDVD、BDではあったが、光ディスクを再生するという意気込みは失われることなく続いている。
 高級BDプレーヤーの製品が壊滅状態のなか、LX91 はフラッグシップ機でありましたが、2年前からカタログ落ちしています。
 パイオニアに、ファームウエアの更新を依頼するメールを送りました。会津坂下にSCLX85(AVアンプ)のセールスに、AV評論家と一緒に、パイオニアの技術者も来て営業。その人の名を出しても、更新します、という確約は得られなかった。このまま、ファームウエアの更新がないと、ますます、BD再生が不安定になり、再生できない、という事態になってしまう。その時は、この製品の終わりの時だ。


○20130213 読み込み

 最近、セルBD、BD-R DLの読み込み、がうまくいかないことが多くなった。DLの面切り替えの際も、フリーズしたり、、、と、気になる不良現象が起きる。読み込みに、メカからクイーンクイーンと音が聞こえると、操作ボタンを受け付けなくなり、しばらくしてUNKOWNDISCとか、CAN'TPLAYとか表示が出れば良いが、それすらないときは、ずっとクイーンクイーンとなにやら動いている。電源ボタン長押しして強制終了するしかない。へたをすりゃ電源コードを抜いてしまう、という荒業になる。これをやるとメカにダメージが加わる可能性があるのであまりやりたくない。
 ということで、修理メンテナンスに出した。
 最近ファームウエアのアップデートがなく、パイオニア本体にメールを出したら、検討する、という回答が来ました。回答が来るだけ素晴らしい(レノボは、質問メール受付窓口さえ無い!)
 廉価版のプレーヤーが1万から1.5万くらいで売っている現状で、動かないプレーヤーにどれだけ意味があるのだ!とパイオニアに強く言いたい!メールにも、パイオニアのフラッグシップのプレーヤーなのだからファームウエアの発行はメーカーの義務、と書いたのだった。



  2009年9月。BD-Rの不具合で動作不良となった。修理内容は、フラッシュROM破壊、交換。その原因は、AVC記録されたRidataのBD-Rを使ったためだ。修理が上がってきた本機。


BDP-LX91


 2008年12月発売。定価43万円。2009年2月パイオニアのディスプレイ、家電オーディオ撤退の報道のある中での営業。
 DVDプレーヤーAX10以来の重厚長大の設計。

 CDLDコンパチ         CLD9000 1984年  249800円  20キロ
 LDプレーヤー         LD-X1    1989年  400000円  28キロ
 ハイビジョンLDプレーヤー HLD-X0   1995年  800000円  36キロ
 DVD              DV-S9    1997年  190000円  15キロ    38W
                  DV-AX10  1999円  500000円  24キロ    52W
 BDプレーヤー        BDP-LX91  2008年 430000円  14.3キロ   52W
 重いと言っても、S9と同じくらい。LDの重量級製品からすれば軽量である。
 今回は、メカも専用新規だそうで、筐体前後にはりを渡しての構造強化が施してある。

 AVCREC対応。
 2009年4月を目途にDTSMAのデコードに対応するらしい。現状では、HDMIにDTSMAのストリームは出せるが、アナログ出力は単なるDTS音声である。

 今回の競合機種は



 デノン  DVD-A1UD 2008年12月発表。546000円。3月以降発売時期がずれ込んでいる。
       世界初のBDのユニバーサルプレーヤー。DVD-A、SACDも掛かる。
       DVD-A1UDは、Neo:6やDolby Pro Logic IIxなどのデコーダーを搭載しているそうなので、2CHもののディスクでも、サラウンドが楽しめるらしい。AVアンプが要らないということか?

       重量 18.9キロ    消費電力 80W


 ソニー BDP-S5000ES  2008年12月発表 294000円  重量 10キロ  消費電力 42W 

 デノンは発表されたものの現物が出てこない。DVD2500BTと同じような経緯をたどっている。
 ソニーは、最近話題になったAVアンプも現物を見たことがないし、このBDプレーヤーも現物を見たことがない。営業にやる気があるかどうかの問題だ。現物デモ機を持ってこなければ製品の良し悪しは判らない。かつてMDP999というド級LDプレーヤー、DVDプレーヤーS7000、PS3を作ったメーカーとしては寂しいものがある。ベータ、Hi8、(SVHS)、DAT、などすべからく映像機器の先頭を突っ走ってきた世界のソニーはどこに行ってしまったのか? LX91は、この2機種の狭間の価格帯である。

 AV機器はDACに金がかかる。DVD2500BTがある程度安価だったのはDACを搭載せず、HDMI出力のみに特化したため。UX-1がアナログ6CHDACを搭載して130万ほどだったのは、DAC専用機を考えるとかなりお買い得であったのだ。その当時2CHのワディアなどは2CHで数十万円から100万以上の金額。それが3筐体となると、DACのみで100万から300万円近くなってしまう。ナカミチのDAC1000pは2CHで55万から70万円(DA111P)であるので、3台そろえれば200万円近くなってしまうのだ。
 LX91は同社高級AVアンプに搭載されたDACの弟グレードDACを8個搭載したというもの。(SC-LX90 880,000円。DACはウオルフソン社 WM8741。BDP‐LX91は、WM8740を8CH分使用。WM8740は、マルチビット、24ビット、192Kサンプリング。LX71も4個採用)
 DTC9.8を導入するより、ボリュームは無いが、HDオーディオのアナログ出力ができれば、既存のコヒレンス、シナジーのプリアンプを活かせる。
 LX91は、プリアンプをより上級のコヒレンス、シナジーを活かすためのマシンと考えたわけだ。(アンプでいえば、DTC9.8が10台以上買えるプリをピュアオーディオ用に使っているのだ。DTC9.8出力は、これらプリアンプのスルー入力で使っている。)
 さてデノンとは違う切り口のパイオニアの実力はいかがなものか?