入交ノート 20250202 WOWOW辰巳放送局オムニクロススタジオ 麻倉怜士 入交英雄 石川要一朗 鈴木ひろたか
はじめに
本稿はタイトルの入交氏セミナー内容を不肖おやぢがノートにまとめたものです。
入交さんのお話の他、それを取材したPhilewebAUDIOの筑井真奈女史。phileMのどんぐりさん。AURO3D氏。石川氏各氏のお話の要約引用も一部あります。
いずれも曲解・誤解の意図は全くありませんのでご容赦お願いします。
注釈、説明で不肖おやぢの考えも記してあります。
また、記載事項・図案等に問題ある場合は何なりとご指摘お願いします。対応いたします。
(連絡先は当サイトのインデックスページ(トップページ)にあります。よろしくお願いします。)
セミナー全部を写真撮影、またはメモ取りを行っておりません。したがって講義全てを網羅しているものではありません。
不肖おやぢのノートでございます。
ノートですのでかなりアレンジが入る場合があります。
PhilewebAUDIOの筑井真奈氏が同サイトに掲載した本セミナーの記事(文章、画像)を引用した箇所があります。
このような場合は注釈に出典を記します。
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WOWOW辰巳スタジオへの道
スマホのナビを使ったらWOWOW辰巳放送センターの裏に案内されてしまった。入場締め切り7分前。塀を乗り越えて行こうかと一瞬考えたが止め。
不審者として捕まってしまっては元の木阿弥。
表の入り口から入場。写真は辰巳放送センターの入り口玄関!と行くとセミナーは更に奥の入り口ですよ!と。
締め切り1分前でぎりぎり入場。放送局の厳しいセキュリティは後程なるほどと納得が行くものだった。
重い防音ドアを抜けるとそこはオムニクロススタジオだった。
石川氏撮影
会場写真2月2日 ↑ 一番手前中央黒シャツがわたくし。
「直伝 イマーシブオーディオ再生技法」 セミナー
講師 入交英雄氏 2月2日司会 麻倉怜士氏
主催 石川氏 (イマーシブオーディオ同好会会長) 協賛 鈴木氏(AURO-3D友の会会長)
セミナー次第
0.イントロ
1.音の聴こえ方
2.イマーシブオーディオのスピ―カー配置
3.AURO-3D 音場音像の考え方
4.入交氏のAURO-3D収録作品とAURO-3Dの音楽
5.質疑応答
(この構成は不肖おやぢのメモ取りの順番でありセミナーストーリーとは異なります。
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イリマジックセミナー1 人間の音の聴こえ方
どんぐりさん撮影
人間の耳は2つある。何故か。物体をステレオイメージ化してその物体がどこに有る(居る)かを認識するため。
1.物体が0.5mにある時、左右の耳の音量差は2.5dbある。この2.5dbというのはかなりの大きさである。
ところが45m以上離れると左右の音量差はほとんどなくなる=物体は遠くに有る=自分に対する影響度(脅威度)は小さい、という事。
近い所の例えば、蚊が飛んでいるとする。小さい蚊であるが数センチから10㎝位の近さで飛び回られると、その蚊がどこに居るか暗闇でも分かる。 この蚊は脅威になる。刺されるとかゆい。感染症にかかるかもしれない。という物体は音量が小さくても至近距離であれば左右の耳で感知する音量差=ステレオイメージ=でその物体がどこに居る、又は移動している事を人間は感じ取ることが出来るのだ。
音を出す物体が動かない場合。人間は頭を動かし左右の耳に音量差を生じさせその物体との距離を計る。これは過去原始の時代から培われた生き残りのための人間の機能だ。狩猟や戦闘に打ち勝ち生き残るために習得した機能なのだ。聴覚は視覚、嗅覚を総合して対象を把握するのだが、今回は音に関して考えていく。
離れた所のものの音で動かないときは人間は自分の頭を動かして距離を感じとろうとすることを自然と行う。
こうして動くもの、動かないものの場所、距離を人間は2つの耳を持って測ることを普通に行っている。
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※おやぢの説明です。入交さんのではありません。氏はまた別のお話=温度と高さ=をしていました。
次の例を見てみよう。
例えば救急車のサイレン。
音の周波数偏移と音量の変化で「もの」=上記例のA.、A’=の移動の様が分かる。
日常、救急車が近づいて来てそして離れていく時、更に左右に移動するときにサイレン音が変わることにお気づきでしょう。
専門用語でドップラー効果と呼ばれるこの音の変化は、動く物体の動く速度、自分からの距離、どちらからどこへ動いて行くのかを判断するのに必要な概念の一つ。
この概念は今回のセミナーの音楽再生技法とは関わらない別の映画音声の考えであるため、このドップラー効果を伴う移動の聴こえ方は入交氏セミナーでは取り上げなかった。
発想は同じで、ステージ固定のマルチマイクで音場、音像を再現することをひるがえせば、移動飛翔するモノ事を再現するのもAURO3D技法で可能ということだ。
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入交さんの講義に戻ります。
ものの音の聴こえ方は上記1。
対象が近いと人間の耳のレベル差はかなりある、というのがポイント。
続いて温度によって音の進み方が違うお話。
写真はファイルウエブオーディオのツクマナさん撮影。
こうした音の聴こえ方を理解すると、逆の考え方でそういう音の作りをすると音場・音像を再現出来るという話。
これこそがイマーシブオーディオ=実体のある音=のお話なのである。
2.音の聴こえ方
スピーカーの考え方。
ファイルウエブオーディオツクマナさん撮影
ファイルウエブオーディオツクマナさん撮影
スピーカーは音の音波を電気信号に変換し、それを増幅して、スピーカーでまたアナログの音の波に戻すデバイス(機器)である。
スピーカーの数は音像、音場の形成に大きな影響がある。
音像、音場を形成するために人はずっと研究を重ねてきた。それがオーディオと呼ばれる技術であり楽しみである。
3.AURO-3D再生
スピーカーは音像、それを取り巻く空間の表現である音場を再生する。
1本(1ch)はモノーラルと言われる。
2本(2ch)はステレオ。
3本(3ch) LCR
4本(4ch) LR SRSL
5本(5ch) LCR SR SL
など
これにSWを追加すると、
5.1ch マルチ
7.1~11.2などスピーカーの数は限りなく多くする再生方法もある。
どんぐりさん撮影
その再生方式は、原初はマトリックスサラウンド。
フロント2chまたは3chにリアサラウンドに2本(又は1本)のスピーカーをセット。この場合はリアはモノーラル。
サラウンドを研究してきたドルビー社が開発したのがドルビーサラウンド。
デジタルになりリアもモノーラルからステレオイメージがあるchへ変化。
さてさてスピーカーの数はいくつにすればよいのか?という疑問が湧いてくる。それを解決に導くのが〇が提唱したAURO-3Dなのである。
入交氏は試行錯誤を繰り返しWOWOW辰巳放送局のオムニクロススタジオに13.1chのシステムをくみ上げた。このch数が適度である、と。
スタジオ写真 SpeakerはMusik Electronic Gaithin(LCRはRL901K、それ以外はRL940、BotomとBCはRL906)
WOWOWサイト(下記)から
完成当初の姿。今回のセミナー時も違いは分からなかった。
オムニクロススタジオは2020年に完成したようだ。
ファイルウエッブオーディオツクマナさん撮影
WOWOWのサイト https://pro.miroc.co.jp/works/wowow-proceed2019-20/
マイクセッティングの実際
石若のJAZZ NOT ONLY JAZZ の収録は入交氏担当。AURO3D11.1や13.1で配信予。
写真は全てファイルウエブオーディオから
マイク 私がスパイダーと呼んだもの。
ファイルウエブオーディオから
楽器ごとのオンマイクと会場音を拾うこのスパイダーをミキシングして音楽ファイルを作り上げる。
おそらくWOWOW放送のMr.BIGのライブもこのアンブレラが使われた可能性が高い。
マイク直置き 私がアンブレラと呼んだもの。傘の骨。
ヘプタゴナルアレイ13ch マイクスタンド
これで収録した森の中での鳥の声や小川のせせらぎ。
再生ch数を増やしていくと立体音場の大きさが乗数倍に広がるのを体験。
4.入交氏が取り組んだ音楽収録
入交氏はAURO-3Dは音楽再生の仕組みとしては最適。
実際の録音
アカペラ
バイオリン
ジャズ
ファイルウエッブオーディオツクマナさん撮影
ボブジェームス 4KUHDソフト
入交さんエンジニア担当。 音声をアトモス AURO-3D LPCMを選べる。
電気楽器のAURO-3D収録は通常のライブ会場のPAと会場音収録手法で行うのが入交流(イリマジック)。
アトモスのスピーカー配置の我メイブル2でこのボブジェームスを聴くと、例えばスネアのリム打ちが右後方に展開してしまう。
IKシアターのAURO3D配置にする前のアトモスSP配置でも同じ聴こえ方だった。
今回純正AURO-3DSP配置で同じ曲を掛けた時おやぢは離席して左手入交さんの近くまで行って音像を確認した。
純正SP配置でもスネアのリム打ちは右後方まで広がっていた。
そのなぞは入交さんの説明で解消した。
入交さんのライブ収録-AURO3D再生での音場・音像は「指揮者」の位置でのものだ、ということ。
観客席ではない没入感を求めるとステージ上で聴く音の姿にミキシングする。とのこと。
なるほど。バイオリンの収録。アカペラの収録。皆ステージ上で聴く音だった。
観客席で聴く音にしたい場合は、聴取位置を後方にすれば観客席位置になる、とのこと。うーむ。
つまり位相を合わせたスイートスポットの位置はステージ上。それから後方に移動すれば観客席、、、
ボブジェームスの楽曲はミキシングがリム打ち音は右後方に展開するよう作られているので聴取位置を変えても余り変わらなかった。
そういうものだ、と思って脳内処理すれば良いわけだ。
LUX 2L
Disc 1
Hybrid SACD
MCH 5.1 DSD
Stereo DSD
RedBook PCM: MQA CD
Disc 2
Pure Audio Blu-ray
2.0 LPCM 192/24
5.1 DTS HDMA 192/24
7.1.4 Auro-3D 96kHz
7.1.4 Dolby Atmos 48kHz
mShuttle: MQA + FLAC + MP3
Region: ABC - worldwide
2Lのディスク。LPCM DTS AURO-3D アトモス の比較ができる。
5.質疑応答
2日は私が発言。オムニクロススタジオは恐ろしくデッド。これはすごい。機器からの電子ノイズもない。空調ノイズもない。恐ろしいくらいのS/Nだ。
AURO-3Dは会場音を拾っている。これは会場の反響、観客の発する音と吸音するのがごちゃ混ぜになっている。
私が言いたかったのは、デッドの部屋で聴くAURO‐3Dと一般のライブなAVルームでのAURO‐3Dの聴こえ方違いではあったが、時間がかかりそうなのでお茶を濁してS/Nの良さのみ強調した。
スタジオだとデッドにしてスピーカーから出てくる音を聴く。
ところが再生音に会場の反響音などを収録している場合はそれらが消えてしまうのではないか、という危惧。
一般のライブな部屋だったら反響があるのでそれはその部屋の響きのライブ会場になるのだが。
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・2日と3日でセミナー人員と懇親会は異なる。
2日は一般主体 +懇親会
3日はショップとAV業界のみなさん主体 +懇親会
2日懇親会 写真に問題有る場合は指摘お願いします。即対応します。
イリマジックセミナーに参加した方の中から懇親会に参加した皆さん。
集合写真撮影はなかったのでここで何とか撮影して15人全員写しました。
おそらく日本でマルチチャンネル、サラウンド、AURO-3Dなどに取り組んでいる方の8割がたがセミナーに参加したのではないか、と石川氏が言っていました。懇親会はさらに精鋭たる面々なのでは?
こうやって懇親会に集まるのは「奇跡」であろうと私は感じました。このセミナーがなかったら一生絶対に出会えなかった面々でしょう。
上の写真黒シャツがAURO3Dさん。その両脇が同じオーディオ関係メーカーのエンジニア氏。向かって右が30歳くらい、左が28,9歳?
若い方がサラウンド、マルチチャンネルの道に進んでいくのはとてもとてもすごいこと。じじいばかりの道楽ではありません。
AURO3Dさんの向かって左に並ぶ皆様。メーカーエンジニアヤング。OK先生。その向こう3名様はわかりません。ごめんなさい。
私サイド。右の写真が私。そのとなりがなにわのインストーラー水岡さん。
私の左側。一人飛ばして本日の講師入交さん。向こうに向かってSAIさん。Mさん?、宮地さん。端が本日主催の石川氏。
3日はメーカー販売店出版社などのみなさんでこれまた盛り上がってようです。
主催石川氏お疲れさまでした!