保険会社物語  

  2020年11月7日 追補


○ 保険会社栄枯盛衰物語

 2001年保険業界は激動の時代を迎えました。これまで護衛船団方式で護られていた保険会社が、バブル崩壊、規制緩和の波で自立できなくなる会社が出てきたのです。

 業界人の管理人にさえ、数ある保険会社が破綻し、合併し、統合していく現状を捉えずらいところがあります。

 ここで、相関図を書いてみました。

 2002年7月までには

 9社が経営破綻
 11社が身売り
 15社が合併

するという大変動がありました。

記号      +合併   ・・・ 業務提携   ― 統合 
 
間違っている部分がありましたらご指摘ください。


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損害保険                       生命保険

  ミレアグループ
  東京海上     ―       日動火災   ・・・   朝日生命 2003年以降(2002年2月白紙)
          2003年4月   
              ↓                ×

  東京海上日動火災保険株式会社
          2004年10月

                  
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   損保ジャパン                    安田生命プラス明治生命(2004年合併予定)
   2002年7月1日                        ↓
                                    明治安田生命  2004年1月
  

  安田火災+ 日産火災+ (大成火災)   ・・・   第一生命・・・アメリカンファミリー2001年4月
  2002年7月           2001年10月破綻

  以上 みずほグループ(富士第一勧銀系)

  2010年4月
  損保ジャパンと、日本興亜火災が合併。SJNKHDが誕生。

  2014年9月 NKSJHDは、損保ジャパン日本興亜ホールディング株式会社として、営業、SCなど統合。

  2014年9月 損保ジャパン日本興亜損保に社名変更。

  2020年 損保ホールディングス  2021年に社名を損保ジャパンにすると発表。

  2021年 損保ジャパンへ変更予定。



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                                                   三井生命  住友生命


  三井住友海上                        ・・・ 日本生命+同和火災 = 2001年4月 ニッセイ同和損保
   (三井海上+住友海上200110月)
                                   三井住友海上と業務データ共有会社設立200104

  以上 三井住友銀行系  

 2010年4月
 MSHDと、あいおい損保、ニッセイ同和損保が経営統合。2010年10月合併。 MSAD IG HDが誕生予定。
 まずあいおいとニッセイ同和が、あいおいニッセイ同和損保となった(2010年10月)
 2011年4月
 MS&AD HD
 2011年10月
 三井住友あいおい生命誕生

 会社概要を見ても、2014年の段階で、MSADがどのような姿になるのか、明確には示されていません。(2014年7月)

 2020年 新型コロナウイルス騒ぎで、あいおいニッセイ同和損保が、MS&ADとして合併するという方針をいったん休止して、ホールディング状態を維持すると発表。

 ただし、2020年段階で、自動車保険の商品は三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保は共通化を進めている。


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 日本興亜損保                  ・・・・・・・・・・・・・・・・  T&D保険グループ
 (日本火災+ 興亜火災2001年4月)               (大同生命+太陽生命・・・・・・前東京生命)

  以上 UFJ ホールディングス(三和、東海銀行)

  2010年損保ジャパンに合併予定。
 (上記NKSJの項をご参照ください。)
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 あいおい損保           
 (千代田火災+大東京火災2001年4月) ・・・・・・トヨタ自動車         

 2010年 MSIGに、あいおいとニッセイ同和が合併した、あいおいニッセイ同和損保会社となった。  
 2010年 MA&ADインシュアランスグループホールディング株式会社    
                  
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 日新火災                  ………  富国生命
                         2004年9月 日新火災の損害保険の募集代理店となる。
2003年2月東京海上と業務提携、資本提携の基本合意 
2004年2月東京海上が主要株主になる。

  東京三菱ファイナンシャルグループ

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                                富士火災 ・・・ AIU(AIG)・・・・・・ アリコジャパン
                                          オリックス      AIGスター(前千代田生命)

2018年1月 富士火災とAIU保険が合体し、AIG保険


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 共栄火災       …………………………………  JA  2002年11月発表
 2003年4月1日相互会社から株式会社へ転換


破綻した会社×     身売り  △       合併  ○        未定 −
会社     異動時期            継続会社   受け皿会社 その後 2010年
2012年
× 日産生命 1997年4月 あおば生命 アルテミス 1999年アルテミスに買却
× 東邦生命 1998年2月 GEエジソン GEキャピタル 1999年6月破綻 00年包括移転 GEエジソンはAIGエジソン生命へ(2004年1月)
2010年9月米プルデンシャルに全株式譲渡
ジブラルタ
× 第百生命 1999年4月 マニュライフ マニュライフセンチュリー生命 2000年5月破綻 01年包括移転
平和生命 1999年11月 マスミューチュアル エトナ生命からINGへ、さらにマスミューチュアル社へ
日本団体 1999年11月 アクサグループライフ生命 アクサ 00年仏アクサグループが買収
ニコス 2000年1月 クレディスイス生命 スイスクレディスw.t.買収 2000年10月クレディスイス生命に名称変更
× 大正生命 2000年8月 大和生命 大和生命+ソフトバンク 02年4月大和生命と統合
× 千代田生命 2000年10月破綻 AIGスター生命 AIG 01年営業再開 2010年9月米プルデンシャルに全株式譲渡 ジブラルタ
× 協栄生命 2000年10月破綻 ジブラルタ生命 米プルデンシャル 01年ジブラルタ生命として営業再開
INAひまわり生命 2001年1月 安田火災の子会社化 安田火災ひまわり生命 損保ジャパンひまわり生命
× 第一火災 2000年5月破綻 損害保険契約者保護機構 2001年4月を目途
× 東京生命 2001年3月 T&Dファイナンシャル生命 大同生命+太陽生命 02年T&D保険グループ参加に
オリコ生命 ピーシーエー生命 英プルデンシャル傘下 01年オリコグループから
朝日生命 東京海上 02年新規営業権を東海生保子会社へ委譲
0202諸事情にて、白紙撤回。
× 大成火災 2001年10月 安田火災 01年米国テロ事件の影響
セゾン生命 GEエジソン生命 GEキャピタル 02年買収 AIGキャピタル生命
2004年GEがGEキャピタル・エジソン生命を売却。1月にAIGエジソン生命に変更。
ジブラルタ
同和火災 ニッセイ同和損保 日本生命 ニッセイ損保と合併 2010年ニッセイ同和損保とあいおい損保が経営統合。あいおいニッセイ同和損保となった。
東洋火災 セコム損保 セコム
- メットライフアリコ 2014年7月 メットライフ アリコ外し
- 三井生命 2020年4月 大樹生命 日本生命
○20111031
2011年 リーマンショックにより、アリコグループの日本子会社を売却。
アリコジャパンは、メットライフアリコ2011年4月
AIGエジソン生命は、2011年2月 プルデンシャルファイナンシャルが購入し、名前はAIGエジソンを引き続いて使っているが、下記のような流れとなる。

AIGエジソン生命  
エイアイジースター生命
ジブラルタ生命
3社は2012年1月に合併する予定で、新会社はジブラルタ生命になる予定。


2014年7月 
 メットライフアリコ社は、メットライフ生命に社名変更。これによって、リーマンショック以来のアリコの名が、日本の生命保険市場から消えた、ということになる。



なぜ保険会社は破綻するか?

 収入と支出の関係があります。
 会社にとっては、収入は、保険料収入です。この他、資産を活用した事業所得(不動産投資、金融投資など)があります。
 支出は、保険金負担の他、事業費支出などがあります。

 通常であれば、保険料収入のほうが多く、万一の場合の保険金支出の割合のほうが少ない(一人は万人のため、万人は一人のためという保険の仕組みによる)ものです。

 それが、会社保有資産を、会社事業に向けるのではなく、不動産、金融資産などに投資した会社があり、また、商品としても金利が高い、つまり、契約者にとっては、満期金や、配当、解約返戻金が多い商品を販売した結果、販売後市場金利が下がって、契約者に約束した支払が出来ない状態になってしまった局面が発生しました。
 
 保険料収入はあるももの、以前に販売した商品の約束した満期金、配当金、解約返戻金を維持することが困難なほど、販売した商品が特化されていた会社は、その商品を売っていれば売っていたほど、将来の支払が収入を上回ることがわかってしまった時期がありました。

 会社は、こうなると、破産状態になります。

 珍しいことに、生命保険会社の場合は、破産とはいわず、「破綻」という表現がマスコミで使われました。

 破産については、相互会社という生命保険会社に多く見られた形態に内在する問題もありますし、会社経営陣の経営に対する考え方の違いもありました。さまざまな問題があった結果、2001年頃に多く発生した会社の整理統合問題が起こったのです。

 詳細は、サンケンにお問い合わせください。
 
 会社の健全性を客観的に評価した「格付け」については、各格付け会社の評価をご参照ください。